アートセラピーサロン ま・れうれう 心理カウンセラー・絵画療法士 松谷桂子 連載コラム 第1回「今のわたしの気持ちを受けとめてみよう!」

今のわたしの気持ちを受けとめてみよう!


今、私たちには自分らしさを表現したり心を整えるための、様々な方法や書籍が溢れています。
どれが自分にあっているのか?迷ってしまい、ある時は占いにいってみたり、またある時はヨガをしてみたり、禅や写経、断捨離などなど。
そのどれもが心を整え、内なる自分と対話をし、自分らしさを感じて生きることの大切さを伝えています。
ここでは、表現療法のひとつでもあるアートセラピーについて、お話しをしていきます。

「うわっ、絵を描くのが下手」、「美術なんて苦手」とか心の声が聞こえてきそうですが、わたしもそんな一人でした。
でもね、心と対話すると、
五感が豊かになります。
ストレス耐性が高くなり、メンタルが健全になります。
心の浄化作用が期待できます。
自分の夢や希望が明確になります。
幸せの引き寄せが強くなります。
などなど素敵な効果が期待できるのです。
心と対話するアートセラピーについて
アートセラピーの良さは、オリジナリティに溢れているため、静かにゆっくりと自分らしさを理解しやすいプログラムになっていること。
そして、白い画用紙に自分で表現するために、無意識にある心の欲求が現れ、自分で受容し、成長させることが可能なのです。
そんなアートセラピーは子供から大人まで、プロセスを楽しみながら、自分のペースでセラピーを進めていくことができます。
そのプロセスは、金子みすずさんの「みんなちがって、みんないい」ということを体感し、そこから他者へ対する尊敬と関わりを学ぶことができるのです。
わたしは、アートセラピーをそんな感じでとらえています。
今回は、S-HTP法を紹介しますね。

【用意する物】
白紙の紙、鉛筆、色鉛筆でも可。
白い紙に家と木、人を風景になるように描いてください。
それぞれにはこんな意味があります。
今の心がどんなことに向いているか、受け止めてあげてください。

【分析の例】
均衡がとれた構図なので、バランス感覚があるといえます。描き手の「社会性」を示す右上に、樹冠が豊かでしっかり根を張った樹を描いていることから、勉強や社会の中に自分の目標を持ち、それに向かって精一杯取り組んでいる様子が伺えます。人物の表情がはっきりと分からないので、感情を人に伝えることに抵抗があるようです。また洋服や髪などの装飾が少ないことから、自分のことを気遣う余裕がない心理状態かも。左上は心のやすらぎにつながるものを描く場所。安心できる場所を求めていると見ることができます。
分析の例
【実践してみよう〜よくある絵の分析から〜】
1.構図
●真ん中に書いていて、全体的にバランスがとれている
今の環境に満足している。自己肯定感がある。

●上に偏っている
紙の上部は未来を示す。未来のことに気を取られ、現実に目が向いていないことが多い。長期休みや楽しみな行事の前によく見られる。

●下に偏っている
下は「現実」。いい意味でも悪い意味でも現実に向き合っているとき。現実のことで手がいっぱい。プレッシャーを感じていることもあり。

2.題材
●太陽 / 赤い太陽は母親、黄色は父親、オレンジは両親を象徴。穏やかな感じで描かれていれば、親の温かい気持ちを子どもが受け止めていると考える。ギラギラとした感じのときは過干渉の現れであることも。
太陽
●人 / 描き手自身の投影。他人を描いていても本人が表現されている※。生き生きした印象なら本人も元気。しょんぼりしていたり、元気がないときは本人もそうであることが多い。座ったり寝たりしているときは疲れていることがある。※「お母さんの絵」などテーマが与えられていないとき
人
●樹木 / 樹木は“心の自画像”。幹がしっかりしていて大きく葉を広げ、大地にどんと根を張っている描き方は、心が安定していることを示す。樹冠(枝や葉の茂っている部分)は夢や希望、社会に対する関心の表れ、枝は実現のための手段。枝を描かずに樹全体を緑で塗りつぶしている木は、「やりたいことがいっぱいあるのにどうすればいいか分からない」という心理状態。
樹木
●家 / 家は家族。あるいは心のよりどころ。窓や玄関があって外に開放していれば、心がオープンで家族のコミュニケーションも良好。窓や玄関がないときは心を閉ざしている可能性もあり。色遣いが暗かったり荒れた印象を与えたりするときは心がすさんだ状態で疲れている。
家
●山 / 人生の目標、達成したいことを表す。山が険しければ乗り越える障害が大きい、または理想が高いことを示す。
山
次回は、絵をどんなふうに解説し、生活に取り入れるかをお話ししますね。

アートセラピーサロン ま・れうれう 心理カウンセラー・絵画療法士 松谷桂子
監修
アートセラピーサロン「ま・れうれう」
心理カウンセラー・絵画療法士 

松谷 桂子

学校・幼稚園での講演会や子供の絵画分析、企業向けカウンセリング講座、コミュニケーション向上研修会、リスナー教育などを行っている。メディア取材として、のりゆきのトークDE北海道の心理テスト「今日のア・タ・シ」の監修や、道新オントナにて心理テストの監修、ケイコとマナブ(情報誌・リクルート出版)の心理テストの監修など各メディアからの評価も高い。