神経(電気信号)のお話
今回は、体の神経についてのお話です。
神経……というと医学用語で理解しにくい……と感じると思いますが、電気信号と考えるとわかりやすくなります。
1700年代イタリアの解剖学教授のルイジ・ガルバニが解剖したカエルの下半身を銅製のカギにひっかけて吊るしておいた。その足が風に揺られて、鉄製の棒に触れたとたん、ピクッと動いた。銅と鉄の異種金属による電気がカエルの足の神経を流れたために起こった現象でした。この発見が生物電気研究のきっかけとなっていきました。
体には異種金属の電気の流れは無いのに、なぜ神経伝達が行なわれるのかという疑問が出てきます。
細胞膜の内と外のミネラル(カリウム、ナトリウム)などのイオン(プラスマイナスの電極)に差があり、何かしらの刺激によってその細胞がマイナスの電極になり、他の細胞から電流が流れ込み、細胞膜の電位の変化(電気)が起きて動き出す仕組みになっています。
神経は、神経細胞とそこから伸びる紐のように長い神経線維とで成り立っていて、この神経線維が刺激や情報を次々に伝えています。早い神経で1秒間に100m、遅い神経で1秒間に1mの速さで情報を伝えます。
たとえば、信号が青になったので車のアクセルを踏んで動かす。この動作でも目からの情報が脳に伝わり、脳から足の筋肉に伝わって、アクセルを踏んでいます。
神経の調節は、感覚や運動ばかりではなく、自律神経も同じことです。血圧や体温などを一定に保ってくれています。
脳も神経の集まりです。脳の重さは約1400gありますが、そのほとんどが色々な形をした神経細胞から成り立っていて、その数は約140億個と言われています。大脳の表面のほとんどは神経細胞で出来ていて、深部の視床下部、脳幹から神経情報(電気信号)を受けています。
また、皮膚にも表と裏に電気が流れています。皮膚電位のある場所は、表皮と真皮の境目にあり、この電気の大きさは交感神経の興奮によって変化します。
皮膚に圧をかけて刺激したり、鍼や灸の刺激を行なうと、皮膚の神経が刺激されて、この刺激が脳に伝えられ、脳から神経を伝わって各器官へ伝えられます。鍼灸治療はこの原理を利用して、皮膚表面から内臓に働きかける仕組みです。
主要な神経(電気信号)は約2030種類もあり、それぞれが乱れずに流れていけば、体本来の、自己治癒力機能や運動機能が発揮され、体の可動範囲も広がります。この電気信号が滞ると、脳に体の情報が伝わらなくなり、脳は体に何が起こっているのかを把握できず、怪我や病気に対処させる正しい指令が出せず、治癒が遅くなってしまいます。
この電気信号をスムーズに流すことに有効なのが、体の外の情報を敏感に感じ取る皮膚(知覚神経)を作ること。
私が皆様にお伝えしている「皮膚からの健康法」の最も重要な目的です。皮膚を健康にすることは体の機能全体を健康にするということなのです。
私が開発したジェルは、数種の薬石を配合しており、この石のミネラルの刺激が皮膚の神経伝達のスピードや感度を高めることに有効と製作しております。
次回は五感のお話です。
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八巻滋倶(やまきしげみ)
鍼灸師・整体師・気功師・医療法人福徳栄会理事・上海専家医学研究中心客員教授