八巻滋倶(やまきしげみ) 特別連載コラム 予防医学のすすめ〜今私たちができること〜 うつ病

うつ病


前回は治療経験から得た自律神経の整え方をお話しました。
今回は、「うつ病」のお話しをします。
治療院を行なっていて、たびたび「うつ病」に悩まれている、ご本人やご家族が訪れてきます。
ひとりで来られる方がいるとしたら、その方は、自律神経系によるストレス性の原因が多く、環境に対して順応性が弱く、上手な人間関係も作れず、なかなか困難を乗り越えられない、やさしくて気の弱い方で、うつ症状に似ているけれどもそこまでではない人です。こういう方のご相談となると、どちらかと言うと、相談というより、自分のあらゆる苦しいことを一方的に伝えてくる会話が多くなります。アドバイスの言葉にも、「だって」「でも」「先生の言うことはわかるけど」と返ってくるのがほとんどです。再度来院されても、同じ話の繰り返し。見た目は軽い疾病に感じますが、回復となると難しいのです。
重いうつ病を患っている方は、一人では相談に来ることは無く、両脇をご家族に支えられて訪ねて来られます。本人は塞ぎ込んで、無表情であったり、逆に反感の目をもって私を見ています。このような方には、医学的な話や、理屈、理論話はしません。塞ぎ込んでいる人は、質問しても答えないので、私自身が代弁者になり、苦痛や悩み、問題点を投げかけていきます。例えば、「毎日むなしいのでしょう」「食べ物がおいしくないのでしょう」「嫌なことがたくさんあったのですね」と、「この人は理解してくれているのだ」と、解って貰います。そのことで、やっと信頼して、私の話を聞く耳を持ってくれます。
信頼して、話を聞いてくれる様になり、「もしかしたら、私は良くなりますか?」と思ってくれたら、この患者さんはうつから開放されていく一歩となります。

逆に聞く耳をなかなか持ってくれないときは「私はあなたに良くなるように話をしていますが、聞く気持ちがありませんね。あなたが良くなろうが、悪かろうが、私の人生に何の影響もない。でも良くなってもらいたいから話しているんですよ」と、わざと突き飛ばした話をします。そのような言葉を言うことで「はっ」と我に返って「この人の言っている事を聞いてみようかな」と思ってもらえたら、良くなっていく第一歩の始まりです。

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うつ病の改善対策はいろいろありますが、基本中の基本は「呼吸」です。
呼吸と言う字は、吐いて、吸うと書きます。とにかく吐くこと、しっかり吐けると吸うことは自然についてくることですので、吐くことに専念します。今の自分の呼吸はちゃんと吐けているか、いつもチェックする癖をつけます。そのことによって、全身、脳に酸素がまわり、体や心が緩まり楽になる事を体験します。そうなったときに「呼吸」の効果がどれだけ体に影響するのかをはじめて理解すると思います。
呼吸法が身に付いたと言うことです。これが「うつ病」を改善する第一歩です。

次回はその他のうつ病対策法です。

鍼灸師・整体師・気功師・医療法人福徳栄会理事・上海専家医学研究中心客員教授 八巻滋倶(やまきしげみ)
監修

八巻滋倶(やまきしげみ)


鍼灸師・整体師・気功師・医療法人福徳栄会理事・上海専家医学研究中心客員教授
北海道札幌市出身。治療家として多くの患者の診察する一方で、オリンピックメダリストのメンタルトレーニングやボディケア、大手健康器具メーカーや病院での講演、上海交通大学での講義なども行ってきた。約10年前からは、健康講座を全国各地で開催し、8,000人以上に講習をしてきている。また、薬石を使用したジェル「マイクロウオーターシリーズ」を開発し、皮膚からの健康法を推奨している。