サロン・ド・テーブルUmemoto 代表 梅本 光江 連載コラム 暮らしを彩るWatashiiro 第21回「お祝いの意匠はお正月飾りで・・・・・」

お祝いの意匠はお正月飾りで……

2017年新たな年を迎えるとやはり心が引き締まり、どことなく緊張感が増すような気がします。
大切な一年の始まりを祝うためにそれぞれのご家庭で様々なしつらえがあることでしょう。
私達の住む日本には昔から、山や森、海などに神秘的なものを感じ、それを敬う心から生まれた多くの儀式があるのですが、お正月は一年間の幸せを願う特別の思いがより一層込められているのです。
例えば、大晦日の夜に“年神様”と呼ばれる神様が“新しい年(新魂・あたらま)を持ってやってくると考えられ、その”年神様”を迎えることで今までの穢れをはらうことができ、新しい魂で新たな一年がスタートするというのです。このようにお正月を迎えることで一つ年を取るという“数え年”でお誕生日を祝っていた!というのも納得がいきます。そしてめでたく一つ年を重ねるには大みそかの夜は“年とりのお膳”を囲んで大いに祝い、うかうか寝てしまっては大変という事なのです(笑)

このように、大切な年神さまをお迎えするためにお正月飾りが考えられたのです。そのひとつに門松があります。これは年の暮れに山から迎えてきた清らかな緑の松などの木を玄関に立て、飾るというもので古くは自分の家よりも高い山から切り出すのが良いとされてきました。この考えはヨーロッパのクリスマスを祝うために飾るモミの木を裏山で切って来るのと同じ風習のようです。神聖なものは空から山へ、さらに樹木を伝わって家々に降りてくると信じられていたのですね。
また、“年棚”と呼ばれる特別な棚を年神様のためにしつらえて、鏡餅や昆布、ごまめ,橙、お神酒を飾るという事もしていました。これが現在の蓬莱という飾りになっているようです。(最近は三宝に鏡餅を乗せるだけの簡単なセットも出回っています)この鏡餅は“年の餅”ともいわれて年神様にお供えすることで魂が宿りそれを食べることで新しい年霊をいただけると考えられ、今日のお年玉のいわれにもなっているそうですよ。

最後にもう一つ、“しめ縄飾り”これも忘れてはならない大切なお正月飾りとなっています。
しめ縄とは、神様が宿るところの結界を表すものと言われていて、清らかな場所を示す張り線の事です。昔はどこの家庭でも玄関の戸口の上や年神様を祭る室内や台所等に飾られていた記憶がありますが、今は様々な形があります。細長い縄のようなものから一方が太くなっていたり、ぐるっと輪になっているものなど、また手作りをしてオリジナリティー豊かな楽しみ方も増えてきているようです。

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手作りといえば、和紙や水引を使って箸袋やお年玉袋を制作するのも楽しいものです。
このようにして私たちは昔からいつもとは違う特別な思いでお正月を迎えています。
酉年の今年、新年の祝いの気持ちを込めてそれぞれのご家庭でもライフスタイルに合わせたお正月飾りで年神様をお迎えしていることでしょう。
いつまでも、ずっと日本のお正月飾りがつづいていってほしいものですね。

サロン・ド・テーブルUmemoto 代表 梅本 光江
監修
サロン・ド・テーブルUmemoto
代表 

梅本 光江

学生の頃から花の美しさに魅せられ華道を学ぶ。
その後、ヨーロッパのフラワーアレンジメントやテーブルコーディネートに関心を持つようになり、インストラクターを取得。
現在、札幌で唯一のお花・お料理・テーブルセッティングを中心としたおもてなしとマナー教室、そしてプリザーブドフラワーの教室を開講。その他、ギフトやウエディングブーケ、ディスプレイなども手がけている。